ヘアーグラスは、前景に芝生を敷いたような草原を作り上げることで人気がある水草です。
一面に繁殖しているヘアーグラスは、まさに緑の絨毯です。
誰もが一度は、緑の絨毯のような草原を作ってみたいと思うのではないでしょうか?
そんなヘアーグラスを、ここでは紹介したいと思います。
以下、ヘアーグラス育成についての注意点をまとめております。
ここを読めば、ヘアーグラス育成の失敗は格段に減ると思います。
是非、皆さんもヘアーグラスの絨毯にチャレンジしてみて下さい!
●ヘアーグラスの購入先について
まずは、元気なヘアーグラスの株を手に入れる事が大切です。
水草の購入先は一番重要になってきます。
水槽の崩壊は水草から始まると言っても過言ではありません。
安易なショップ等の水草は、農薬・スネール・コケ等に侵されており、
これらの水草を購入し、そのまま水槽に導入してしまうと、その後の水槽の崩壊は必至です。
信頼できるショップや、熱心な愛好家から譲ってもらう事が一番です。
●無農薬と表示されている水草について
よくショップ等では「無農薬」と表示された水草が販売されています。
しかし、これも注意が必要です。
ショップの大部分は水草を問屋から購入しており、
その問屋も海外から水草を仕入れています。
販売目的の海外の水草は、高い濃度での農薬や薬品漬けで日本に輸入されてきます。
綺麗なグリーンで見た目は良いのですが、薬品漬けの水草は使い物になりません。
いくら販売段階でのショップで薬品抜きを行ない、無農薬の水槽でストックをしていても、
水草の葉や茎の内部には残留薬品が残っておりますし、
水草の成長段階での落葉などで薬品成分は水槽に流出します。
水草の購入で、バクテリアが死滅し水質が悪化したり、
エビ類が全滅するのは、この残留農薬が原因とも言えます。
農薬や薬品は目に見えないだけに、栽培や輸入段階で薬漬けにされているものは怖いものです。
●ヘアーグラスとショートヘアーグラスの違いについて
普通のヘアーグラスは、環境によってはかなり長くなります。
低光量でも育成しやすいのが特徴ですが、低光量だと背丈がより高くなります。
価格は安めで、比較的入手し易いです。
それに比べてショートヘアーグラスは、草丈があまり大きくならず、葉が外側にカールします。
ショートヘアーグラスは、葉が外側にカールするので、
ある程度の高さになると底床方向に葉が向かい、底床付近の葉の密度が増します。
単なるヘアーグラスと比べると価格は高めで、ショップでの扱いは少ないと思います。
●水上葉と水中葉の違いについて
ヘアーグラスには、水上葉のものと水中葉のものがあります。
ヘアーグラスを地上で育成すると葉は水上葉となり、
水上葉を形成したヘアーグラスを水中に入れると、
水上葉を落として、次第に水中葉の形成を始めます。
水上葉、水中葉、どちらのヘアーグラスも最終的には水中葉を形成するようになります。
どちらが良いかと言うと、どちらも一長一短あります。
地上の日光の下で育った水上葉は、水中葉とは格段に株の活力が違うからです。
水中に入れるとそれまでの水上葉を落とし、水中に適した葉を形成しますが、
もともと日光で育ち蓄えた活力を充分に活用するため、その後の育成が楽です。
ただ、水中に入れると一度葉を落としますので、
その時の掃除の必要性などデメリットはあります。
水中葉は、あらかじめ水中に適した葉が形成されているというメリットがあります。
しかし下手なショップ等では、低光量で株が弱っていたり、苔やスネールの付着など最悪な状態のものが多いです。
また、例え水中葉でも環境が変われば、葉を落とす傾向もあります。
水中葉でも弱った株の場合、環境変化の適応にも弱く、新芽の展開が遅い場合もあるのです。
また、水上葉をポットに詰め替え、わざわざスネールやコケのある水槽に入れて販売している場合もあります。
下手な水槽に入った、コケやスネールが付着した弱った水中葉を買うよりも、
健康な水上葉の状態での株を購入して、一から水中葉の形成を楽しむ方法が理想だと思います。
●底床について
ヘアーグラスは根から養分を吸収しますので、底床は重要です。
厚みは最低でも5cmは欲しいところです。
綺麗な芝生を再現するには、なるべく粒の小さいソイルがお勧めです。
特に、パウダー系のソイルを使うと育ちがかなり良くなります。
●肥料について
初心者が失敗する理由の一つに肥料があります。
たいていの場合、肥料の使い過ぎで水槽を苔だらけにしてしまいます。
新品のソイルを使用する場合、元々ソイルに養分が含まれているため、
初期の段階では、初心者は下手に肥料を添加する必要はありません。
誤って肥料を使い過ぎ、水槽を苔だらけにしてしまっては本末転倒です。
特に水草の導入初期は、水草の根も安定していない為に、肥料の吸収もさほど機能しません。
水草が安定していないのに、育成を焦るあまり、肥料を与え過ぎて、逆に水槽や水草を苔まみれにしてしまい、
最終的に増えた苔に養分を奪われ、水草を枯らしてしまうというのが初心者のパターンです。
●ヘアーグラスの植え方について
購入後に水槽の水を汲み出した容器の中で、ばらすようにして濯いでください。
根元についた苔やゴミや枯れた部分を削除していきます。
ヘアーグラスを植えるには、少なくとも数株ごとに分け、
面倒でも丁寧に指やピンセットを使って深めに植え込んで下さい。
特に、水上葉から育成する場合は、1本ずつ間隔をあけて植える事がコツです。
この時の作業は、その後の生長の違いに繋がりますので手を抜かないでください。
やがて水上葉部分は枯れ、株からやがて美しい水中葉の新葉を出し、
地下茎を伸ばして繁殖を始めます。
その際に株が密着していると、枯れた水上葉を取り除く事が困難になり、
腐敗や苔の発生の原因になります。
寂しいくらいの間隔で植え込んでいくほうが、繁殖した時に綺麗な草原を作り上げます。
何事も最初が肝心です。元気な株を1本ずつ間隔をあけて深めに植えるよう心掛けて下さい。
やがて地下茎でどんどん横に増えていき、芝生のように緑の絨毯ができます。
●ヘアーグラスの維持と管理
ソイル系の底床を使っている場合は、ソイルの養分により、特に追肥をしなくても状態良く水草は育ってくれます。
多めのCO2、高光量の環境にする事で、追肥しなくても綺麗に育成する事が可能です。
それでも追肥をする場合は、注意が必要です。追肥をした途端にコケが発生するという現象はよくあります。
液体肥料の添加量は、メーカー推奨値の半分程度から始めて、
水草の状態とコケの発生などの状態を観察しながら増減していくのが一番無難で安全な方法です。
あと、糸状藻の発生は致命的な結果になります。
水槽底部は水流が弱いので、ヘアーグラスが密生すると、益々水流は弱まることになります。
このような場所には糸状藻が発生しやすくなります。
こまめに底床付近を掃除する事と、小型のエビなどを入れておくとよいでしょう。